生まれた年
先日、農家に行った時のこと。
私は市の農業開発支所というものに配属されている。
朝同僚と挨拶して、これから行く農家の名前を告げると、彼女もこれから行くという。
彼女はバイクで、私は自転車で、現地に向かった。
先に着いていた同僚は、農家さんの身分証明書を見ている。
身分証明書には誕生日や、産まれた場所、目の色、職業、身長などが書かれていて、顔写真もついている。きちんとラミレートもされている。
なんの話をしているのかな、と思ったら、出生した年が間違えている、という話。農家さんは1944年生まれと言うことになっているが、71歳より若いだろう、と言う。
ベナン人の見た目年齢はわからないけど、私は農家さんを60歳くらいの人だと思っていたので、71ということはないだろう、と思った。
農家さんは部屋にある色々な書類を持ち出してきて、とはいってもここの人は紙類をあまり所持しないので、片手で持てる程度の、公共機関でもらった書類を色々物色して、結局その人は1949年生まれの66歳ということになった。でも特に確定できる証拠となる書類はなかったと思う。
色々な書類は彼が1944年に生まれたということになっていた。
私は同僚が出生年を確かめる仕事までしているのに驚いた。同僚にそんな仕事もしていたんだね、と言った。同僚曰く、農家さんが携帯電話を買いたいが、携帯電話会社が60歳以上の人には携帯を売らないそうだ。結局農家さんは年齢制限で携帯を買えないので、娘に買ってもらうことにしていた。
ベナンは19世紀後半にフランス領となり、1960年にダオメー共和国として独立。1975年にベナン人民共和国、1990年に現在の名前、ベナン共和国となったそうな。
ベナンは今年の8月1日に、55歳になります。
農家さんは色々な国で生きてきたのだなあ。
バイクの運転免許もないベナン、まだまだ新しい国だな、と思いました。そんなこと思った日は沖縄のこととかアイヌのことを思い出しました。
ずっと前のことに思えてたけど、あの人が生きている間に起こったことなのだなあ